メタカード───
それは圧倒的な理不尽と横暴を咎めてゲームの整合性を保つ役割を担う者であり、現代デュエル・マスターズを語る上で決して欠かす事の出来ない存在である。
メタカードという解答があるからこそド派手過ぎてクソゲー化を招きかねないような切札でもその活躍を許され、ハゲしくアツかりしカードゲームが成立しているのである。多種多様なメタカードこそがデュエマの拡張性を支えていると言っても過言ではないのだ。
しかし、そんなメタカードの中には何に対抗することを想定して生み出されたのかまるで分からない、あまりにもピンポイント過ぎるカードも存在する。
今回はそんな不遇でありながらも謎の魅力を感じさせる個性豊かなカードを独断と偏見だけで厳選したので紹介していこう。
本文へ進む前に紹介するカードを選んだ基準について断っておきたいのだが、デザイナーズコンボに見えるものは全て除外した。例えば《侵略者 ランドヘッド》は相手にエクストラターンを与えてしまう《正体不明》との併用を前提としており、用途のよく分からないカードとは言い難いだろう。
前置きが長くなってしまったが1枚ずつ見ていこう。全部で6枚なので最後まで読んで頂ければ幸いだ。
1枚目
《聖天使カイザル・バジキューラ》
相手のマナゾーンに火のカードがあればブロックされなくなるが、ご存じの通り火文明にブロッカーなど存在しない(当時は多色カードも未登場だった)。ブロッカー入りのコントロールに火のカードも投入される事を想定したのかもしれないが、それにしてもあまりに視野が狭い能力と言えるだろう。
ただし、このカードが登場した2003年では進化と言えど5コス8500のアタッカーは貴重であり、ステルスをささやかなオマケと捉えればまだ納得できる範疇なのかもしれない。
2枚目
《急所狙いのドン・バット》
勇ましいフレーバーテキストが物語っている通り、背景ストーリーにおける敵対勢力のサポート種族を文字通り狙い撃ちにするメタ能力を持つ。
言いたい事だけは分かるのだが、如何せん範囲が狭過ぎる。《スナイプ・アルフェラス》辺りをシバけるのは悪くないものの、自身が5コスと重いのが非常に険しいと言わざるを得ない。
話は逸れるがドリームメイトと関係の深いカードと言えば《超神星マーズ・ディザスター》とかいう本当にマジで何がしたいのか一切分からない輩が存在するので、メタカードという個性がある分《ドン・バット》の方がマシな待遇を受けているようにも思えなくはない。結局マーズさんデュエプレにも出なかったね
3枚目
《タリスマン・リザード》
タップ能力を全面的に禁止する単純明快な能力を持つのだが、そもそもタップ能力をメタらなければならない場面などデュエマの歴史を隅から隅までしっかりこってり探しても見つからないだろう。
確かに《幻想妖精カチュア》や《残虐覇王デスカール》といった厄介なタップ能力持ちは当時から存在したものの、だったら火文明お得意の火力で本体を焼けばいい話である。予め設置しようにも除去耐性が無いのが痛い。
ならば能力を考慮せずにメルト・ウォリアーの種族デッキで使えばよいのでは?と思うかもしれないが、悲しいことに唯一の進化メルト・ウォリアーである《巨大神ハウルスク》は強力なタップ能力が売りなのだ。当然相性は最悪の極みと言える。何なんだほんとに。
4枚目
《爆輪男》(デュエプレ版)
紹介したいのはデュエプレで調整を受けたカードなのだが、先にTCG版の《爆輪男》を見ながら説明したい事がある。
ウェーブストライカー(以下、WS)は自分と相手のWSが合計3体以上いれば大幅に強化されるクリーチャー群であり、条件を満たしたWS軍団のスペックには目を見張るものがある。
そんな並べてなんぼのWSであるにも関わらず場を更地にしてしまう《爆輪男》はイーサン様でも首を傾げる不可解な切腹専用カードにも見える。WS対面に刺さるメタカードと見ることも出来なくはないが、それこそピンポイントが過ぎるので嫌いなクラスメイトがWS愛好家でもない限り採用する意義は薄い。
しかし、このカードの真価はリセットカードにもなり得るWSである点である。先述の通りWSは3体並べなければ効果を発揮できないのだが、こいつ自身もWSを持つので条件未達成時は頭数として場に置いておく使い方もできるのだ。
まとめるとTCG版の《爆輪男》は非常にクセが強いものの上手く使いこなせば強力なカードという事である。ではデュエプレ版はどうだろうか。
…………???
何という事だろう。能力は同じなのに本体からWSが抜け落ちているではないか。
これではリセットカードにもなり得るWSという個性を失ったただの切腹専用カードだ。何故数あるWSの中で彼だけがこんな仕打ちを受けなければならないのだろうか。可能性があるとすれば、デュエプレ運営が《爆輪男》をナーフしなければWSが環境を支配するみたいな謎電波を受信した結果だろう。そんな訳ないんだよな。
確かにデュエプレでもWS連中は一定の成果を残したが、そのメタカードとしての《爆輪男》は流石にピンポイントと言わざるを得ない。こいつに関してはメタとかそれ以前の問題でシンプルに不憫である。
5枚目
《開眼爆剣 アイラ》
コストが1のクリーチャーをまとめて焼き払える個性的な能力を持つが、1コス獣を並べるような【速攻】相手にコスト3は重過ぎるし、その速攻だって盤面にはコスト2以上のクリーチャーも立っている事がほとんどだろう。
唯一評価できる点があるとすれば複数体並んだ害悪ベイビーをまとめて処分できる事だろう。コスト1に恨みがある系のクリーチャーには他にも《チキン・マトン》や《月夜に巣食うマジョ》も存在するが、【ミルクボーイ】を一撃で葬り去る事ができるのはアイラだけの強みである。だったらなんだ。
6枚目
《レッツ!鳥鍋パーティー》
除去の範囲が狭過ぎるのはもちろんだが、6コスの呪文を使ってファイヤーバードを根絶やしにする頃にはもう大体手遅れなのではないか?少なくともファイヤーバードを多用するNEXは6マナあれば回り出す。
恐らく鍋パの下準備に時間がかかり過ぎたのだろうが、結果的にピンポイント過ぎるメタカードの癖にそのメタ対象にすらまともに刺さらないというあまりに悲しい運命を背負う羽目になった。
今回のカード紹介は以上である。
ざっくり調べた印象だけで書いた部分もあるので、もしこの記事に対する意見があれば是非コメントで教えて頂きたい。
……である調はやっぱ慣れないね。次回からはまた普通にやります。